便秘とは?
「便が出ない日がある」「排便が毎日あるけれどスッキリしない」などの便秘の症状でお悩みの方は、一度クリニックへご相談ください。便秘は体質と考えている方も多くいらっしゃいますが、便秘は治療が可能な病気です。
また、便秘は肛門や大腸に負担をかけるため痔や大腸疾患のリスクを上昇させます。さらに便秘が大腸がんなど、大腸疾患の症状として現れているケースもあります。
労働生産性に関する研究によると、便秘による失われる労働生産性は、便秘でない方と比べると約1.7倍高くなることが明らかとなりました。便秘により体調が万全でないために、遅刻や早退などで仕事を中断する割合が多くなることなどが原因です。労働生産性の低下を、収入の低下に換算すると、年間で約122万円の損失になるとの計算もあります(兵庫医科大学 三輪洋人教授のお話から引用)。Changらの研究によると、調査10年間で慢性便秘の方は、便秘でない方と比較すると10%以上生存率が低いとのことです。
専門医を受診して疾患の有無を確かめ、原因に合わせた治療を受けることは健康を保つ上でもとても重要なのです。
便秘は、医療機関で適切な治療を受けずに、市販薬に頼っていると慢性化してしまう恐れがあります。便秘でお悩みの方は、検査をして適切な治療を行いましょう。
便秘外来で便秘の治療
適切な検査や丁寧な問診によって原因を明らかにして、症状・体質・ライフスタイルに合わせた薬剤の処方や生活習慣の見直しとアドバイスを行って便秘を解消し、再発を予防するための専門的な診療を行っています。便秘は生活習慣の影響を大きく受けるため、きめ細かいカウンセリングを特に重視しています。また薬に関しては、新しい作用を持つものが登場していますし、同じ主成分でも効果の出方の違うものがありますので、症状だけでなく、生活スタイルやお考えなどにも合わせた処方を心がけています。
※ご注意:便秘外来を担当している院長の外来は土曜日には設定されていません。ご予約および受診時にはご注意ください。
このような症状がある方は、便秘外来へご相談ください
- 便が硬い、コロコロした便が出る
- 便が詰まって出しづらい
- 強くいきまないと便が出ない
- 排便に時間がかかる
- 便が少ししかでない、残便感がある
- お腹が張っていて苦しい
- 3日以上排便がないことがよくある
- 毎日排便があるけど、排便後もすっきりしない
- 便秘薬を飲まないと排便できない
- 下剤で下痢状態にしないと排便できない
- 便秘薬の量が増えてきた
- 便秘になると肌が荒れる
- シャワートイレなどで刺激しないと出ない
便秘の原因
複数の原因が関わっていることもありますが、まずは原因疾患の有無を確かめることが重要です。当院では適切な検査と丁寧なカウンセリングで原因を見極めて、適切な治療を行っています。
主な便秘の原因
- さまざまな腸疾患
- 腸の機能低下・亢進
- 生活習慣(水分/食物繊維/運動の不足など)
- ストレス(疲労/睡眠不足/環境の変化など)
- 腸内細菌叢
- 排便習慣
便秘の種類
原因疾患の症状として便秘が起きている続発性便秘、腸の機能的な問題によって便秘が起きている機能性便秘、そして生活習慣などの影響で起きている便秘に大きく分けられます。原因疾患がある場合、その治療を行いながら便秘の解消も行っていきます。
機能性便秘と生活習慣による便秘は、便秘外来による治療が効果的です。両方の要因があって慢性的な便秘になっているケースも多いため、便秘外来では便意のタイプに合わせてきめ細かい治療を行っていきます。
機能性便秘(原発性便秘)
蠕動運動の亢進や低下など、機能的な問題で起きている便秘です。腸には炎症など器質的な問題がありません。
結腸通過時間正常型 | 便意の低下で起きている直腸性便秘です。便は直腸まで遅延なく到達しています。 |
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結腸通過時間遅延型 | 直腸まで到着するのに時間がかかる痙攣性便秘です。蠕動運動の乱れによって起こることが多くなっています。 |
便排出障害型 | いきんでもなかなか便が出ない弛緩性便秘です。主な原因は排便機能の低下です。 |
続発性便秘
便秘が病気の症状として現れています。原因疾患によっては早急な治療が重要な可能性があります。
器質性便秘 | 腸管が閉塞や狭窄を起こして便秘になっているため、早急な治療が必要です。手術後の癒着、大腸がんなどの可能性があります。 |
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肛門直腸疾患 | 代表的な切れ痔は便秘と関係が深く、互いを悪化させやすい疾患です。再発させないためにも、便秘解消が不可欠です。 |
その他の疾患
消化器の疾患だけでなく、その他の全身性疾患で便秘の症状が現れることは珍しくありませんし、既往症の治療として服薬している薬によって便秘を起こすこともよくあります。例えば、高血圧の治療薬である降圧剤は便秘を発症させやすい傾向があります。便秘外来受診の際に服用しているお薬を確かめますので、お薬手帳か飲んでいる薬そのものをご持参ください。
便秘外来の診察
スタッフは全員が患者様のプライバシーに十分配慮しており、受付で「受診する診療科」「疾患名」「症状」についてうかがうこともありません。また、診察室は完全個室であり、待合室などに声が伝わってしまうことはありません。また、月に1回火曜日の午前10時から12時までの2時間、女性医師による便秘外来も行っています。男性医師にはお話になりにくいこともあると思われます。お電話にてご予約を承ります。是非、ご利用いただけますようご案内申し上げます。
Step1診察
問診で医師がお話をじっくりうかがいます。便秘の頻度や状態、はじまった時期と症状の推移、特にお悩みの点、病歴、服用している薬、生活習慣やライフスタイルなどについてご質問します。気になることがありましたら、なんでもお気軽にお尋ねください。
Step2触診・検査
腹部の聴診や触診、腹部X線検査によって状態を確認します。さらに、血液検査、超音波検査、大腸内視鏡検査などから必要な検査を行います。これにより疾患の有無を確認し、原因を見極めます。また、普段お召し上がりになっているお食事の調査をいたします。2日分の調査票をお渡しいたしますので、次回受診時にご持参下さい。管理栄養士が拝見して、便通の改善に良いと思われるご提案をいたします。
大腸内視鏡検査
内視鏡で大腸粘膜の状態を直接観察し、検査中に組織を採取できますので、さまざまな大腸疾患の確定診断が可能です。炎症・大腸がん・大腸ポリープの有無、狭窄なども発見できます。当院では、痛みや苦しさを最小限に抑えた検査を行っていますので、安心して検査を受けていただけます。さらには、検査を受けていただくことで、腸管内の便がすべて出てしまっていることを利用して、管理栄養士のご案内による、当院オリジナルの腸管リセットプログラムもお試しいただけます。
腸管リセットプログラムとは?
便がたまったことや下剤による刺激などで疲れ切った腸管を空にすることで、腸をまっさらな状態にもどします。その状態から、管理栄養士のご案内のもとで腸の活動をよくする食材を段階的に摂っていくプログラムです。
Step3治療方針のご相談
原因、便秘のタイプ、効果的な治療法についてご説明し、患者様と最適な治療方針をご相談しながら決めていきます。漢方や新しい作用を持った薬、効果の出方が異なる薬など、幅広い選択肢があります。また、当院の特色として、お渡ししていましたお食事の調査票をもとに、管理栄養士が食事内容・食べ方など食生活全般に関してご提案をいたします。また、看護師による生活習慣の見直しや改善のご提案、運動療法なども重要なポイントです。お悩みの解消だけでなく、ライフスタイルやお考えにも沿う、最適な治療方針を決めていきましょう。
※ご注意:便秘外来を担当している院長の外来は土曜日には設定されていません。ご予約および受診時にはご注意ください。
便秘の治療
生活習慣改善
正しい排便習慣、食生活の改善、適度な運動の習慣化が便秘解消には不可欠です。食生活の改善についていは管理栄養士が、運動の習慣化や生活習慣については看護師が、具体的で、無理がなく、実行しやすいアドバイスを行っています。例えば食物繊維については、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のどちらを積極的にとるのか、そしてその適切な量など、食材の例や目安の量をしっかりお伝えするようにしています。
解消と予防には、長く続けることが重要です。ストレスにならないよう、負担の少ないことから少しずつ取り入れていきましょう。
薬物療法
下剤、腸の機能を改善する薬、腸内細菌叢を整える薬、漢方などから最適な処方を行っていきます。新しい作用を持つ薬が登場していますので、これまで思うような改善効果を得られなかった場合もご相談ください。
同じ薬でも効果の出方には個人差がありますし、状態の変化によって適した薬が変わっていくこともあります。また、薬剤によっては一時的な処方が適したものや、継続投与によって徐々に効果を現すものもあります。当院ではご来院のたびに症状の変化などに合わせてきめ細かく処方を変化させて、より適した処方に近づけていきます。気になること、お悩みの点がありましたら、どんな些細なことでも遠慮なくお伝えください。